今月の花だより（2024年5月8日）
現在開花している植物
温室
ペトレア・ヴォルビリス
紫色の美しい花が2段に重なっているように見えます。手前が花で、後ろはガクになります。ガクは花が終わった後も長く残り、風を利用して種を遠くへ飛ばすプロペラの役割を果たします。「ペーパーサンドバイン」という別名もあり、葉っぱは、紙やすりのようにざらざらしています。
トックリヤシモドキ（花）
「ヤシノキ」と聞くと、頭の中に、あるカタチが思い浮かぶかも知れませんが、「ヤシの花」と聞くと、あまりピンとこないかもしれませんね。こちらは「トックリヤシモドキ」の花です。どことなくほうきのような、はたきのようなおそうじに使えそうなカタチですね。
ウサギゴケ（珍奇な植物展より）
ウサギのようなかわいらしい花です。「コケ」とつきますが、「苔（こけ）」の仲間ではなく、タヌキモ科タヌキモ属の食虫植物。そんな風には見えませんが、地下茎に捕虫袋を持ち、虫を取り込むそうです。
ハエトリソウ（ハエトリグサ）（珍奇な植物展より）
モウセンゴケ科ハエトリソウ属の食虫植物。食虫植物らしい葉っぱを持つ有名な食虫植物。花は山野草のような可憐な花です。
グラスチューブ（つる性植物・鉢物のコーナー）
ホヤ
ブーゲンビレアに隠れるように咲いていました。珍奇な植物展の多肉植物コーナーに並べたかったのですが、ひっこぬくわけにもいかないので、グラスチューブでご覧ください。ブローチみたいなかわいらしい花です。
マダガスカルジャスミン
キョウチクトウ科シタキソウ属のつる性植物。マダガスカル原産でジャスミンに似た花が咲くので、この名になったそうですが、ジャスミンの仲間ではありません。花はジャスミンのような香りがあります。
ヒメアリアケカズラ
南国の花らしい。ビビッドな黄色が印象的。沖縄などでよく植栽されるつる性の「アリアケカズラ（別名：ゴールデントランペットバイン」もありますが、ヒメアリアケカズラの方は小型の低木として鉢物で流通している品種です。長い間、次々花を咲かせます。
ブーゲンビレア
咲き始めは白で、だんだん淡いピンクのぼかしが入って、グラデーションがきれいなブーゲンビレア。現在、苞の色がピンクのものもきれいに咲いています。
展示庭園
ハマナス（ふれあい園他）
日当たりのいい場所で、ちらほら咲き始めました。海岸に自生する、日本原産の「バラ」になります。バラの原種に近い一重のバラです。バラなので、いい香りがします。バラなので、トゲがあります。花が終わった後は、いわゆるローズヒップ（実）をつけます。実は梨の味に似て、浜に咲くから「ハマナシ」→「ハマナス」になったとされます。これから花の見頃を迎えます。
コウボウムギ（雄株）ー松田江浜にてー
砂浜でよく見られる海浜植物。麦とつきますが、カヤツリグサ科スゲ属の植物です。「筆草（ふでくさ）」という別名もあり、根茎の繊維を筆に使っていたらしく、筆と言えば弘法大師ということで、この名がついたとされます。世界共通の植物のお名前、学名に「Carex kobomugi」 とあり、日本での呼び名がそのまま採用されています。
コウボウムギ（雌株）ー松田江浜にてー
雌株の方がより、麦っぽい感じです。図鑑では雌雄異株（しゆういしゅ）となっていますが、近年、両性のものもあり、植物の世界もジェンダーフリーなのですね。
ハマエンドウ（松田江浜にて）
砂浜でよく見られる海浜植物。浜に生え、エンドウ豆に似た実をつけることからこの名がついたとされます。エンドウ豆の仲間ではなく、マメ科レンリソウ属、スィートピーの仲間になります。
担当者からひとこと
GW中は、多くの方にご来園いただき、ありがとうございました。そして、珍奇な植物展をSNSなどで紹介して下さったみなさま、ありがとうございました。GW中お仕事だった方も珍奇な植物展は6月23日まで開催しています。植物園は、これから開花がどんどん進んで、1年で最も花が多い時期を迎えます。木々の緑も雨が降るごとに、深く、濃くなっていきます。ページをめくるように季節の変化を感じてみてください。みなさんのご来園をお待ちしています。