今月の花だより（2024年11月16日）
現在開花している植物
温室
ストレリチア
南アフリカ原産、ゴクラクチョウカ科の多年草。南国の美しい鳥を思わせるカタチの花から「極楽鳥花（ゴクラクチョウカ）」の別名があります。鳥のくちばしみたいな部分は、仏炎苞（ぶつえんほう）でここから花が次々ゆっくり咲いていき、長い期間花が楽しめます。オレンジ色の部分は萼（ガク）で、紫がかった青い部分が花です。それにしても何でこんなカタチなんだろう？
ガジュマル
沖縄で「キジムナー」と呼ばれ、精霊が宿る木とされます。バッサリ剪定して、幹から気根（きこん）という根がのびている様子がよくわかるようになっています。気根は空気中の酸素や水分をとりこみながら成長し、やがて、支柱根（しちゅうこん）といって木を支える役割をはたします。ちなみにキジムナーは水木しげるの漫画に全身毛だらけの愛嬌のある妖怪が登場します。キジムナーと仲良くなったらいいことがあるみたいで東北地方の座敷わらしみたいな存在なのかな？
モクビャッコウ
鹿児島県トカラ列島以南の奄美、琉球、小笠原諸島などに分布。海岸の岩場や隆起サンゴ礁の上に自生するキク科の常緑低木。現在、淡い黄色の小さな花が咲いています。シルバーリーフが美しい葉の方が観賞価値が高いそうで、園芸品として流通しています。漢字で「木百香」と書くように、薬草のような独特な香りがあります。
イソマツ
黄色のウコンイソマツのとなりにピンクのイソマツも開花してきました。伊豆諸島、小笠原諸島、南西諸島に自生、南西諸島南部、琉球に自生するウコンイソマツとは本来は分布地が異なり、ちょっとめずらしい光景になっています。沖永良部島だったかな？両方見れるところもまれにあるそうです。
ホソバワダン
本州（島根・山口県）の日本海側～琉球の海岸の岩場などに自生するキク科の多年草。「ワダン」は「ワタナ（ワタ=海の古い呼び名+ナ=菜）」が訛ったものとされ、葉が細いので、この名がついたとされます。沖縄では「ンジャナー」と呼ばれる島野菜で、ネットで検索すると、島豆腐とンジャナーの白和えなど体に良さそうなレシピが出てきます。温室の片隅に植栽して2年目にタンポポみたいなかわいらしい花が咲きました。
グラスチューブ（つる性植物・鉢物のコーナー）
ニンニクカズラ
熱帯アメリカ（メキシコ、ブラジル）原産のつる性植物。葉をもむとニンニクのような匂いがすることからこの名がついたとされます。咲き始めは濃い紫色で、だんだん淡い紫から白に変化します。となりに「カリガネカズラ」を植栽しています。こちらはカレーのような匂いがするので、別名「カレーバイン」といいます。同時に 咲いてくれたらおいしそうな匂いになりそうです。
展示庭園
ツワブキ（ふれあい園ほか）
本州（太平洋側は福島県以西、日本海側は石川県以西）、四国、九州の海岸の岩場や崖に自生するキク科の多年草。葉がつやつやでフキ（蕗）に似ているので、この名がついたとされます。晩秋から初冬に咲く黄色の明るい花は花の少ない時期の貴重な彩を与えてくれます。
ハマゴウ（実）海浜散策路にて
夏の花、ハマゴウもたくさん実をつけていました。実を乾燥させたものは蔓荊子（まんけいし）という生薬名があり、鎮痛、鎮静、消炎作用があるとされます。ハマゴウの実を集めて枕に入れるとよく眠れるとか、入浴剤にすると疲れが取れるとか、なかなか重宝されてきた植物のようです。丸薬みたいな実は花と同様にスーッとした清涼剤のような香りがあります。そして海浜植物あるあるで海水に浮き、潮の流れに乗って種を遠くに運びます。
担当者からひとこと
冬に余計なエネルギーを使わないように落葉する植物、コモが巻かれた南国の植物…植物たちの冬支度も整ってきました。みなさんも冬の備えはできてますか？昼夜の寒暖差も大きな季節、体調に気をつけてお過ごしください。