今月の花だより（2024年12月14日）
現在開花している植物
温室
アンスリウム（白）
「仏炎苞（ぶつえんほう）」という渋い名前の植物用語があります。おもにサトイモ科の植物に見られ、肉穂花序（にくすいかじょ）と呼ばれる真ん中の棒のような花を包む大きな苞（ほう）のことをいいます。確かに仏像と光背みたいなカタチです。
アンスリウムとストレリチア（ゴクラクチョウカ）
紅白のアンスリウムとストレリチア（極楽鳥花）のコラボ。仏教の世界みたいに見えなくもないかな？ちなみに仏炎苞がピンクのアンスリウムもあります。来られた際は探してみて下さいね。
レモン（実）
完熟途中のまだ青いレモン。1年を通して、花が咲いているか、実をつけているか途切れることなく楽しめました。夏の終わり頃、すす病にかかった葉をふいていると、甘く苦い柑橘類特有のいい香りがしました。葉っぱにも香りの成分が含まれているのですね。
アカリファ
「アカリファ」あったかそうな名前ですね。世界共通の植物のお名前、学名そのままローマ字読みになっており、 属名（エノキグサ属）のことです。同属の「ベニヒモノキ」とよく似た花穂が見えますが、斑入りの葉の方が美しく、南西諸島や沖縄など公園や生垣に植栽されます。英名は「copper leaf(銅の葉)」赤銅色の葉を持つもの、緑の斑入りのもの、覆輪（ふくりん）といって、葉のふちに斑が入るものなど多くの園芸品種があります。
グラスチューブ（つる性植物・鉢物のコーナー）
ブーゲンビレア（ピンク）
夏に剪定して、太い茎がにょきにょきのびて、葉っぱが緑のカーテンのようになっておりましたが、先端に少しずつ花が見えてきました。着色された部分は花ではなく、苞（ほう）です。桜に例えると一分咲きといったところでしょうか。
ブーゲンビレア（白）
こちらもちらほら咲き始め。咲き始めは緑がかっていて、「御衣黄（ぎょいこう）桜」みたいな色です。
ブーゲンビレア(黄）
こちらもちらほら咲き始め、咲き始めは濃いオレンジ色です。 ちなみにブーゲンビレアも学名そのままローマ字読みで、フランスで初めて世界一周の航海に出た探検家のルイ・ブーガンヴィル（Louis Antoine de Bougainville 1729-1811）の名にちなみます。彼に同行した植物学者のフィルベール・コメルソン（Philibert Commerson1727-1773）が名付けたそうです。
ヤハズカズラ
こちらも学名そのままローマ字読みで「ツンベルギア」の名前で多くの園芸品種があります。植物の名前は、人の名前だったりするものが多くあり、こちらはスウェーデンの植物学者カール・ツンベルク（Carl Peter Thunberg (1743-1828）にちなみます。江戸時代の終わり、出島のオランダ商館の医師として日本に滞在、植物の分類学に功績を残した人物です。
ヤシの実いろいろ…
2025年の干支「へび」の名前の植物を探していたところ、木の実を展示しているコーナーでへびみたいなうろこ模様の木の実がいくつかありました。ヤシの実です。なんでこんなカタチなんだろう？乾燥から身を守っているのかな？擬態？鳥に食べられないように爬虫類のふりをしているのかな？
担当者からひとこと
2025年の干支「へび」の名前の植物を探してみました。季節が進み、ゆる山へ行くと「ヘビイチゴ」や「マムシグサ」といった植物に出会えます。薬草の本に、へびにかまれたときに使う植物というのも多くありました。昔はへびにかまれる人も多かったのかな？タデ科の植物で「オオケタデ」という植物があり、よっぽど効果があったのか「ハブテコブラ」という別名があります。同じタデ科の「タデアイ」は藍染めの原料となる植物で、へびよけの効果があるらしく、藍で染めた衣服が野良着として使われました。ジーンズ、いわゆるインディゴ染め。こちらもガラガラへびから身を守るため鉱山で働く人々の作業着だったそうです。ヘビと植物と人…奥が深いです。