今月の花だより（2025年2月27日）
現在開花している植物
温室
クィーン・エマ・リリー（つぼみ）
ネット遊具の出口付近に、ワイン色の妖艶な花茎を見つけました。3月に入ったら開花するかな？リリーとつきますが、ユリではなく、ヒガンバナ科の植物。クィーン・エマはハワイの王様カメハメハ4世のお妃Emma Rooke(1836～1885)のこと。彼女のお気に入りだった植物なので、この名がついたそうです。若くして相次いで夫と子を亡くし、お妃だった時代はわずか7年でしたが、病院や学校の建設に尽力するなど多くの功績を残しています。波乱万丈だった彼女のそばに寄り添い、癒しを与えてくれた植物なのですね。
タコノキ
支柱根（しちゅうこん）と呼ばれる根っこが、蛸（たこ）の足みたいに四方八方にのびていくおもしろい植物。支柱根は、海岸近くの河口やマングローブなど不安定な場所で幹を支えたり、水や酸素を取り込むなど、植物が生きていくうえで重要なお仕事をしています。世界共通の植物のお名前、学名「Pandanus boninensis」のboninensisは「小笠原の」という意味で、小笠原諸島の固有種なのですね。現地では、長く伸びた支柱根は、生き物たちにとっても、天敵から身を守るちょうどよい棲みかなのかもしれませんね。
スターフルーツ（実）
果実をカットすると星☆のカタチのカタバミ科の果樹。かなり完熟してきました。今年はちょっと規格外なへんてこりんなカタチですが、無事結実してくれてよかったです。奥に見えるタコノキの葉っぱもかっこいいですね。この日は、2月の3連休、今季最後？の寒波が到来した日。外に雪が降っていることをしばし忘れそうになりました。
アオノリュウゼツラン
温室内トックリヤシの根元付近に竜のようにうねっている植物があります。メキシコの強いお酒、テキーラの原料にもなる植物で、トゲのある肉厚な葉を竜の舌に見立てて、この名がついたとされます。蘭（ラン）の仲間ではありませんが、ランとつくので、ランみたいなきれいな花が咲くのかな？見てみたいところですが、こちらは、100年に1度しか花が咲かないセンチュリープラントと呼ばれる植物です。実際は数十年に1度らしいのですが、いつ花が咲くのか？楽しみですね。
ヒメキランソウ
温室内で大きなソテツを植栽しているコーナーの足元に、すきま植物のように、いくつか海浜植物を植栽しており、よく見ると時々小さなかわいらしい花を咲かせています。こちらは日本の九州や沖縄に自生するシソ科の多年草。丈夫なので園芸品が流通し、グラウンドカバープランツとして利用されます。日本のどこかで、芝生みたいに一面が紫色にそまっているところがあるようです。
グラスチューブ（つる性植物・鉢物のコーナー）
トックリラン
2月の3連休、今季最後？の寒波が到来した日のグラスチューブにて。窓の外は雪景色。葉を落とした植物が多く、がらんとしたグラスチューブにぽつんとトックリラン。猛暑の夏も、急に冷え込んだ秋の日も、寒い冬の日も、ずっとこんな感じ。いわゆる耐暑性、耐寒性に優れた植物なのですね。こちらもランの仲間ではありませんが、ランとつくのできれいな花が咲くのかな？開花は数十年に1度とされます。どんな花が咲くのか楽しみですね。
トックリランとブラシノキ
今季最後？の寒波がやってきた日から1週間もたたない急激に雪解けが進んだ日のグラスチューブにて。心なしか窓辺の光もやわらかく感じます。トックリランのおむかいさんブラシの木もだいぶんつぼみがひらいていました。
展示庭園
ウメ（植物園の温室通路の外にて）
温室へ向かう通路で窓の外に目をやると、毎年2月は満開の梅の花が見えますが、今のところまだつぼみでした。今年は全国的に梅の開花が遅れているそうです。今年は遅い春なのかな？
担当者からひとこと
花だよりとなっていますが、つぼみだよりになってしまいました。今年は2月にたくさん雪が降りましたね。氷見市は富山県内では少ないほうでしたが、通勤や通学で早起きされた方、除雪作業に従事された方、不要不急の外出を自粛された方…おつかれさまでした。3月は過ごしやすい日が多いといいですね。